かごしま黒豚・鹿児島黒牛は日本全国に知られる名ブランド。そんな鹿児島の“黒”を背負う、第3の特産品として誕生したのが“黒さつま鶏”。鹿児島の「新たなる黒」として注目されています。
鹿児島県の畜産試験場が「黒」にこだわり、研究を開始したのは平成13年。それから6年もの年月を研究に費やし、平成18年に“黒さつま鶏”が誕生しました。平成23年度から本格的に出荷されています。
鹿児島県が長い年月をかけて生み出し、鹿児島の新たなる黒として注目を集める“黒さつま鶏”。その父は江戸時代に薩摩藩で闘鶏用に作られた“薩摩鶏”。県畜産試験場では昭和30年代から62世代に渡ってこの薩摩鶏の維持・改良に取り組んでおり、日本三大地鶏のひとつとしても知られています。一方、母は羽が白黒で碁石のように見えることから、鹿児島では“ごいし”の愛称で親しまれてきた“横斑プリマスロック”。洋風な名前ですが、立派な在来種の地鶏です。
“黒さつま鶏”の特徴は、色とおいしさだけではありません。それは生産性の高さと、コスト面にあります。“黒さつま鶏”はケンカをすることの少ない、おとなしい地鶏。生存率が高く、地鶏のなかでは生育が早いのも長所です。また「高級品ではなく、より多くの消費者に食べてもらいたい」と、その生産コストにもこだわりました。もともとブロイラー産出額全国一である鹿児島県。そのノウハウを注ぎ、コストを軽減することにも成功したのです。
旨味成分であるアミノ酸が多く含まれ、他の地鶏に比べ脂のノリがいい“黒さつま鶏”。煮ても焼いても硬くならず、冷めても美味しい肉質が特徴的です。
肉質の特徴は水分が少なく締まりがあり、筋繊維が細かいところ。歯切れの良さと適度な弾力を持ちながらも、柔らかな食感が楽しめます。
旨味成分のアミノ酸が豊富な“黒さつま鶏”ですが、地鶏としては脂ノリがいいのも特徴です。そのため、炭火焼でいただくと、ジューシーな肉汁と旨味が口いっぱいに広がり、他の地鶏とは一味違った美味しさを実感できます。「地鶏は焼くと硬くなる」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、歯ごたえと柔らかさのバランスがとれた“黒さつま鶏”の食感は、そのイメージをきっと覆してくれるはずです。実際、プロの料理人からも「深みのある味わいと、他の地鶏にはない食感が特徴的」と好評。飲食店では鶏刺・鶏飯・炭火焼・鶏しゃぶなど、シンプルな調理で黒さつま鶏本来の味を楽しめる料理が提供されています。